男の秘密
試着から数日経ち安達から服の手直しが終わったから試着して欲しいと電話がかかった。

待ち合わせ場所は忍の家だった。

どうして忍の家なのか疑問に思うが、外で会うのも緊張するから良かったと思う事にした。

出来上がった服は試着の時でも申し分無いと思ったが、やはり手直しをして貰うとさらに綺麗に見えた。

試着を済ますと、用事があるらしく安達は早々に帰ってしまった。

優も出来上がった服をじっくり見たいので、夕食を作ったら直ぐ帰る事にした。



駅までの道すがら先日の事を思い出した。

この前の試着の日に、羽奈に泣きついたお陰で、いい案が見つかった。

夏祭りに誘い、雰囲気に任せてなるようにするというものだ。

自分では思いも付かない事だが、羽奈は楽しそうに具体的にどうすればいいかを教えてくれた。

問題は忍の休みだが、幸運な事にその日の夕方から予定が入っていなかった。

夏祭りとは言わずに外で会って、話がしたいとだけ伝えた。

距離を置こうとしている相手に、警戒させない為だそうだが、優には良く分からない。

とにかく、距離を縮める為なら何でもしようと思ったので、素直に羽奈の指示に従った。

今一番不安なのはストーカーでも出し物の事でも無く、この計画だと思える。

『上手くいくかしら』

手には今日も可愛らしいフラワーアレンジメントの入った袋を持っている。

会えないが、忍が自分の事を気にかけていてくれる証のようで嬉しかった。


「斉藤さん?」
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