男の秘密
だが先ほどの会話から、忍は自分からは行動を起こすつもりが無い事がわかる。

「私から・・・誘うの?!」

言葉にしてみると急に恥ずかしくなった。

恋愛経験が無い自分からどうやって誘う事が出来るのか。

口に出す事など絶対無理だと何度も頭を振る。

では、どうやったら相手をそういう雰囲気に持って行けるのか?

自分の経験の無さに今更ながら腹が立った。

どんな事をすれば良いのか長い間考えたが、一向に良い案が思い浮かばない。

迷惑だと思いつつ、頼れるのは羽奈だけなので、つい電話をしてしまった。

「どうしたの?こんな時間に?」

電話の向こうはザワザワとしていて何処か外にいるようだった。

「こんな時間にゴメンネ。羽奈に教えて欲しい事があったの。
でも、外みたいだからいいわ。ごめんなさい」

羽奈のプライベートな時間に電話した事を後悔した。

「良いのよ。もう帰る所だから。家に寄っても良いかしら?」

慌てて電話を切ろうとした優に羽奈がそう言った。

「でも・・」

「忍さんの事でしょ」

「・・そうだけど、勢いで電話しちゃったけど、冷静になったら明日でも構わないわ。」

「やだ、気になる。もう黒峰呼んだし、直ぐ行くわ」

「ありがとう」

通話を終了して携帯を見つめると、申し訳ない気持ちが一杯になって、泣きそうになった。

「暗くなったらダメだわ。羽奈が来るなら何か用意しないと」

勢い良く立ち上がり、これから来る羽奈の為に軽く食べられるものを用意しだした。
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