男の秘密
「・・はい」

泣きそうになるのを我慢して答えると、忍にふわりと抱きしめられた。

「!?」

一瞬驚いたが、腕の中は安心出来た。

「今日はどうして浴衣なんだ?」

直ぐに腕を解かれてそう聞かれた。

「あの、今日ここで夏祭りがあるの」

離れた距離に寂しさを感じながら、つとめて明るく答えた。

「夏祭り?」

そう言って忍が辺りを見渡すと、浴衣姿で歩いている女性が何人も居た。

「はい。この先の神社の夏祭りで、規模は大きくないけど、花火も上がるの」

「私、誰かとお祭りに行くのも初めてで・・・」

忍が自分を見てくれないのが寂しくて、一人で話を続ける。

「それで・・・!?」

話すことに気をとられて、なれない下駄で躓(つまず)いてしまった。

『扱ける!』

話が途切れた事を不振に思った忍が振り返ると、バランスを崩して倒れこむ優の姿が目に入り、咄嗟に受け止めた。

「大丈夫か?」

「・・はい。ごめんなさい」

しゅんとして俯いてしまう。

「手、繋いでおかないとな」

そう言って優の返事を待たずに優と手を繋いで歩き出す。

それだけの事だが、とても嬉しくて暖かい気持ちになった。

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