男の秘密
ぼんやりと、昔を思い出していると、羽奈から声がかかり、気付けばもう昼休みが終わる頃だった。

慌てて立ち上がり、会計を済ませて店を出ると、店内の涼しさと打って変わって、蒸し暑さが広がっており、改めて夏なんだと思い知らされる。

店から会社に戻るだけでも、汗ばむ陽気に辟易しながら午後の仕事に取り掛かる。

社内は空調が効いていて先ほどの汗も直ぐに気にならなくなる。

月始めも終わり、通常の仕事量に戻ったので、残業も無くなり今日は定時に上がれるかもしれない。

早く帰れたら何をしようと考えながら仕事をした所為で、作業効率は下がってしまったが、幸せな気持ちは消えなかった。

だから気付かなかった。

昨日夜に電話をくれると言っていた忍からの電話が無かった事に。
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