男の秘密
『だめ、羽奈に転送しなきゃ・・メール消さなきゃ』

頭では冷静に考えているのに、体が付いてこない。

吐き気と眩暈(めまい)と耳鳴りで意識を手放しそうになるのを必死に止める。

緩慢な動きで何とかメールの処理をしようとした時、隣の席から日置の心配そうな声が聞こえてきた。

「斉藤さん、真っ青だよ。大丈夫?」

その声に現実に引き戻された気がした。

「だい、じょう・・ぶです。少し、気分が優れないので、医務室に行って来ます。」

もう、メール送信をする余裕も無くなり、フラフラと立ち上がり、危なげな足取りでフロアを出た。

途中お手洗いで吐いたので、少しムカつきは抑えられたが、医務室に向かうまでに、色んな人に心配されても、「大丈夫です」と繰り返す事しか出来なかった。

医務室で、横になることを許可してもらい、ベッドに横になるが、眩暈と耳鳴りが続き眠ることは出来なかった。
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