男の秘密
目を閉じて眩暈をやり過ごそうとしている間、あの手紙の内容が頭から離れなかった。

どれだけそうしていたのか分からないが、いつの間にか眠っていたようで、人の話し声で目が覚めた。

『ここは・・』

まだ頭がハッキリとしておらず、場所の把握も出来ていなかったので、辺りをぼんやりと見渡してみる。

白い壁に簡易ベッド仕切りのカーテン・・一見すると病院の様だが、消毒液の匂いはあまりしない。

『会社の医務室だったわね』

そこまで考えてハッとした。

どうしてココに来たのか、そして、仕事をしなければと思い、慌てて起き上がろうとしたが、酷い眩暈に襲われて上手く起き上がれず、派手な音と共にベッドに沈んでしまった。

ガタン!

「優、起きたの?」

音に気付き声をかけて来たのは羽奈だった。

「羽奈・・」

声を聞いてホッと息をついた時、カーテンが開けられて羽奈が顔を出す。

「もう終業時間だから、病院で見てもらいましょう」

そう話しかける羽奈は肩に通勤用のカバンをかけている。

「私、終業時間まで眠ってた?」

もう一度起きようとして、また眩暈が襲い、額に手を当てる。

「頭が痛いの?」

羽奈が心配そうに覗き込んでくるので、手を振って違う事を伝える。

「眩暈がするの」

少し楽になってからそう話す。
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