男の秘密
ドクン。

激しく心臓が跳ねた後、胸を締め付けられる。

見たくない。思い出したくない!

目を閉じて胸を掴んでそう強く願うと、ざわざわした声が聞こえてきた。

ゆっくりと目を開けると、いつの間にか場面が変わっていた。


お葬式・・・。

お経が響く室内で、祖母の横にいる自分は、まるで人形のように、無表情に座っている。

その後ろで、誰かの声が聞こえてきた。

「あのこ、両親が死んだって言うのに、涙ひとつ流さないわよ」

「人形みたいに無表情で気味が悪い」

あの時、何も感じていなかった。

両親が死んだ事が受け入れられなくて、心が閉ざされていたのよね。

今の自分は両親の死がとても悲しい事だとわかる。

今聞くと、心無い親族の声は優の心を抉った。

あの後、誰が私を引き取るか揉める前に、おばあちゃんが引き取ってくれただよね。

両親の死後、何の反応も示さなくなった私のそばに、ずっと寄り添ってくれたから、お葬式から1週間位でやっと両親の死を受け入れる事が出来たんだわ。

腕の中で涙が枯れるまで泣き続けた私を、ずっと抱きしめて背中をさすってくれていた、おばあちゃんの優しさを私は一生忘れない。
< 201 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop