男の秘密
ノックの音が聞こえたので、二人が戸口に目をやると羽奈が入って来た。

「体調はどう?二人ともご飯食べてないでしょうから、食べられるならご飯食べましょ」

そう言って持っている紙袋を高く上げながら近づいてきた。

「羽奈、ゴメンネまた迷惑かけちゃって」

「何言ってるの、私の方こそ怖い思いさせちゃったわね」

「そんな事無いわ。それに、私、その時の事殆ど覚えてないのよ」

辛そうな顔をする羽奈に、苦笑しながらそう話す。

「そうなの?良かったわ、怖い思いを余り覚えていないなら」

二人の傍まで来た羽奈は、紙袋の中から、お弁当を出して二人に手渡す。

まだほんのり暖かいそのお弁当は、色とりどりの惣菜が入った松花堂弁当だった。

「美味しそう!」

「警察に行く前に注文しておいたの」

「それで、やっぱり、犯人は松永だったのか?」

警察という言葉が出たので、忍が聞いてみた。

「えぇ、直接は会ってないけど、確認はしたわ。」

「じゃぁ、制裁はもう無いのよね?」

「制裁?」

ストーカー行為をしていた松永が捕まった事で、これ以上忍に何か起こる事が無い事が嬉しくて、口が滑ってしまった優は、聞き返されて慌てた。
< 231 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop