男の秘密
「え?」

柔らかい笑みを浮かべて、優に話す忍に向かってそう言うので、忍は不思議そうな顔をした。

「だって、テレビじゃぁ何時もすました顔で、どんな質問にも作り笑いを貼り付けて話してたわ」

「は、羽奈!?。な、なんて事を言うの?!」

「いや、羽奈さんの言葉は間違ってない。俺は斎賀忍という俳優を常に演じていたから」

「忍さんが忍さんを演じてたの?」

理解出来ないようで優は困惑気味に聞き返した。

「うん。さっき話しただろ。疑心暗鬼になってたって。

だから、他人が入り込めないようにしてた」

「テレビを見てないから分からないけど、そんなに違うものなの?
 忍さんは忍さんだと思うんだけど・・・」

不思議そうな顔をする優に忍が苦笑する。

「優には適わないわ」

「え?」

「私の時も同じ事を言ってた。羽奈は羽奈でしょって。その言葉をさらっと言える所が優の凄いところよね
 さ、優の元気な顔も見れたし、そろそろ帰るわ。」

「あ、黒崎さん待たせてたのよね。ごめんなさいって伝えて。」

「分かったわ。それじゃぁ二人とも、お休みなさい」

「お休み。羽奈、ありがとうね」

去り際に優にそう言われて、羽奈の顔が少し赤くなったのは忍しか気付いていなかった。
< 233 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop