男の秘密
「斎賀さん時間です」

スタッフの声で現実に引き戻された忍は、控え室から出て、会場に向かう。

多くの報道関係者の視線の中で始まった記者会見は、1時間程度で終わった。

控え室に戻り、ソファーにドサリと腰を下ろし、大きく息をついた。

この会見で世間がどういう反応に出るのかは分からないが、怖くは無かった。

『自分の思いは全て言葉にした』

神田亜里沙との写真はは映画の打ち上げの時に撮られたもので、他にも大勢のスタッフが居た事。

写真の中に忍のマンションに二人で入っていく場面のものがあったが、それは今結婚を前提に交際している一般女性である事。

神田亜里沙の引退の話が出てくるかと警戒したが、誰もその話を持ち出さなかったという事は、引退の話自体がガセネタだったのかもしれないと忍は思った。

何にせよ、終わった事をあれこれ考えても仕方ないので、考える事を止めた。

「帰る準備が整った」

そう言ってドアを軽くノックして入って来た木戸も、疲れの色が出ている。
< 242 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop