男の秘密
「優?」

ぼんやりと忍の横顔を見ながら、他の男性の事を考えていた優は現実に引き戻された。

「ボーっとしてました」

苦笑しながら答える。

「しんどい?それなら今日はやめるけど」

信号が赤になり、停まったタイミングで声をかけられた。

「いえ!考え事をしてました。すみません」

慌てて謝る。

「ならいいんだけど。俺も楽しみにしてたから」

優の方を向いて柔らかく笑う忍に、優は真っ赤になった。

『免疫が無いんですから』

心の中で自分でも良く分からない突っ込みをいれてしまう。

『あぁそっか。
免疫が無いからドキドキするだけで、これって恋とは違うんだわ』

今まで一度も見た事の無い、非の打ち所の無いようなカッコイイ男性を見てドキドキするのは当たり前。

そう結論付けたら余裕が出て来た。

今までの勘違いを思うと思わず笑みがもれる。

「どうしたの?」

不思議そうな顔をする忍。

「いえ、ちょっと思い出し笑いをしてました」

「思い出し笑い?」

更に不思議そうに聞いてくる忍。

「あぁ、えーと、トンでもない勘違いをしていた事が可笑しくて」

「どんな勘違い?」

興味深そうに聞いてくる忍に慌てる。

「え!?聞かないで下さい。本当に恥ずかしい勘違いだったんで」

流石に本人を前に勘違いの内容を言えるハズも無く、赤くなった顔を覆って俯いた。
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