男の秘密
何時も座っているという角の席は、店の裏を流れる川が見える席だった。

「春に来ると川沿いの桜がとても綺麗なんだ」

その時の光景を思い出しながら話している忍の表情は、とても穏やかだった。

「忍さんの表情を見てるだけで、桜がどんなに綺麗だったか想像出来ますね」

優を見た忍は不意に視線を外して黙ってしまった。

「あの、私何か・・」

「食前酒をどうぞ」

優が視線を外された理由気構とした時、さやかが飲み物を持って来た。

「俺は車だから水を」

「あら、何時もはレモネード飲むのに」

クスクスと笑うさやかを忍が軽く睨む。

「レモネードあるんですか?」

「えぇ。家でとれたレモンで作るの」

「私お酒より、そのレモネードが飲みたいです」

「二人ともレモネードね。じゃぁこのレモネード優さんが飲んで。忍君のは直ぐ持ってくるから」

何時もの忍の態度に安心したので、先ほどの質問はせずに、レモネードを一口飲む。

「美味しい!さっぱりしてるけど、レモンの香りが凄くするわ」

「急かせてしまったから、喉が乾いてただろ」

「そう言えば喉が乾いてました」
< 59 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop