男の秘密
「恩人だって話」

「・・・まぁ、そう言うことにしとこうか」

ニヤニヤとしている隆司とは逆に苦虫を潰したような顔をしている忍。

話の内容がイマイチ分からない優は、不思議そうに二人を眺める。

「優、こいつが鈴木隆司。隆司、彼女が恩人の斉藤優さんだ」

「初めまして。隆司です。さっき居た子がオレの奥さんで、さやかです。よろしくね」

優しい笑顔で笑いかけられて、ドキリとしてしまい、言葉が直ぐに出てこなかった。

「さ、斉藤優です。こちらこそ宜しくお願いします。」

「ホントに可愛いね。これじゃ・・」

「何処に座ったらいい?」

隆司の会話を遮るように忍が言う。

「あぁ、今日は貸切にしてあるから、何処でも好きな席に座ってくれ」

そう言われて店内を見渡すと、確かに誰も居なかった。

テーブルも椅子も木製で、丸みのあるデザインで温かみがあって居心地のいい空間が広がっている。

「何時もの所で」

そう言うと、慣れた足取りで奥に向かうので、優もその後についていった。

『これじゃ・・の後、何を言おうとしてたのかしら』

忍の言葉に遮られて、最後まで聞く事が出来なかった言葉が気になった。

先ほどのさやかと言う女性も、とても親しそうに忍と話していたし、何か疎外感を覚えて寂しい気持ちになる。

「そこに座って」

忍の言葉に我にかえり、指示された席についた。
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