男の秘密
「また、二人でおいでよ。あぁ優一人でも大歓迎だけどね」

隆司が意地悪そうにチラリと忍を見る。

「こんな辺鄙(へんぴ)な所。車ナシで来られるか。」

忍も意地悪そうに隆司を見た。

『忍さんも隆司さんと一緒だと、雰囲気が全く違いますね』

二人のやり取りを楽しそうに眺める優。

「子供でしょ」

その優の耳元でこっそりとさやかが囁いた。

「違う一面が見られて楽しかったです」

「あら、良かったわ。幻滅してないようで」

優とさやかが顔を見合わせて笑っているのに気付いた二人が、訝しそうな顔をする。

「さぁ、今日はこれでお開きにしましょう。」

さやかの声で帰り支度をして店を後にした二人。

帰りの車でも話題は食事の後の話で盛り上がり、あっという間に着いてしまった。

「今日はありがとうございました」

「こちらこそ。凄く楽しかった」

満面の笑みを向けられ、優は動揺してしまった。

「あ、あの。日曜日の件、またメールしますね。
 おやすみなさい!」

逃げるように車を降りて、マンションに消える優を呆然と見送った。
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