男の秘密
「お礼は口実だ」

「え?」

眼下を見ていた忍が、不意に優を見つめてくる。薄明かりに照らし出されたその顔は、男の色気があり、優の心臓がドキドキしだした。

「看病して貰った時から好きだった。また会いたいと思って連絡先を渡したんだけど、
優から連絡して欲しくて優の連絡先を聞かなかった。
でも全然連絡をくれなくて正直焦ったよ。」

突然の告白に優の頭は全く付いて行けず、ただ、呆然と忍を見上げている。

「連絡を貰えた時、凄く嬉しかった。
今日の朝の言葉で年甲斐も無く動揺して、何も離せなくなってしまって、優を不安にさせて悪かった」

「忍さんが動揺?」

「あぁ、あの時優が俯いていたから見られて無かったけど、俺、凄い顔が赤くなってた。
人生初の経験だ」

照れくさそうに笑って話す忍を見ても、真っ赤になった事が想像できない。

「想像出来ません」

「俺も。」

顔を見合わせて噴出した。
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