男の秘密
『何処に行くんだろう。』

暫く走ると、車は高台に停まった。

駐車スペースが有り、そこに車を停めて忍が先に降りた。

それを見て、優も車から降りる。

高台には街灯があるが、少し薄暗い。その中をフェンスがある端まで歩いていく忍。

後をついて優がフェンスまで行くと、眼下に街の明りが見えた。

「綺麗ですね」

さっきまで萎んでいた気持ちが綺麗な景色のお陰で浮上した。

「ここって、あんまり人が来ないから、考え事をする時に良く来るんだ」

フェンスに身体を預けて眼下の明りを見ながら、ポツリと呟いた。

優も同じようにフェンスに身体を預け、眼下を見下ろす。街の明かりを見ていると不思議と安心できる。

「今日、優と一緒に出かけられて、嬉しかった。

約束する時、本当に来てくれるんだろうかって、ちょっと不安だったんだ」

「そんな、私こそ忍さんが私と出かけるのって、あの日のお礼の延長だと思ってました」
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