男の秘密
「あ、忘れるところだったわ」

食事も終る頃、優が思い出したようにそう言って、持っていた紙袋からクッキーを出してきた。

「何それ?うまそうだな」

加藤がそう言って優の手からラッピングされたクッキーを奪った。

「あ、それこの前作ったんだけど、渡しそびれて・・・。」

「え!これ斉藤さんが作ったの?!」

加藤の持っているクッキーを一緒に眺めていた吉田が驚いた声を出す。

「うん。羽奈が食べてくれるから たまにね。」

『本当は忍さんに渡すつもりで作ったんだけど、あの日頭が真っ白になって、結局渡せなかったのよね』

「食べて貰う相手が居ないの?」

吉田が突っ込みを入れる。

「え・・と居るような居ないような」

「何?その微妙な良い方。明日土曜日だから今日、優の家でじっくり話を聞くわ」

優の対応に羽奈が乗り出してきた。

「え!いや、あの、その」

「決定ね」

ニッコリと有無を言わさぬ笑みを向けられ羽奈の泊りが決定した。

『確かに誰かに相談したかったけど、羽奈はちょっと・・・』
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