男の秘密
「なぁこれ貰ってもいい?」

ずっとクッキーを見ていた加藤が羽奈に向かってそう言った。

「えぇ!嫌よ。私、優の作ってくれるクッキー好きなのよ。私好みに甘さ控えめだし」

「まだ有るから良かったらどうぞ。吉田君も良かったら貰ってくれる?」

紙袋から二つの袋を取り出して、吉田と羽奈に渡す。

「いいの?ありがとう!」

嬉しそうに吉田がクッキーを受け取る。

「あれ?このシール絵が違うんだね」

渡されたクッキーを見て、表の部分に貼ってあるシールの絵を加藤のものと見比べている。

「うん。自分で書いた絵だから・・・」

「絵も描くんだ!凄いね」

「ううん。どっちも趣味だから大した事無いよ。」

「いや、上手いよ、この絵」

食い入るように見ている加藤に優は恥ずかしくなってきた。

「加藤君恥ずかしいからジロジロみないで」

「優、クッキーありがとう。そろそろ戻るわ」

トレイを持って立ち上がった羽奈をハッとして三人が見上げた。

今は同期会では無く昼休み。三人も慌てて立ち上がり午後の仕事に向かう。

「斉藤、幹事の件またメールするわ。クッキー。サンキューな!」

「斉藤さん、クッキーありがとう。同期会楽しみにしてるよ」

三人と別れてロッカーに戻り、身支度を整えて午後からの仕事に向かう。
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