一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「彼は難問、と謳われている入社試験ではじめて全問正解した秀才です。それに、エンジニアの資格を持つ彼はパソコンを含む機器関連の知識も豊富で、機器トラブルの対処はほとんど彼が担っている状態です」
金髪にピアスという派手な出で立ちを誰も注意しないのはその専門業者顔負けの実力と、笑うと子犬のように可愛らしくなる顔立ちと、人見知りを全くしない明るい性格のせい。
今もこんな緊張した場面にも関わらず、野田専務のお褒めの言葉にニヤついている。
大した肝の座り方だと思うけど社会人たるもの、場はわきまえなければならない。
脇腹をギュッと掴み睨む。
そうすれば口元を引き締め、背筋を伸ばした。
「ひとり飛ばしたようですが」
会長の視線が私に向いた。
その言葉を受け、野田専務の方を向けば、手元に用意した資料をバサバサとめくりはじめていた。
たしかに他の3人のような実力はないけど、これは少し切ない。
立場なく、肩を落として俯く。
そんな私の耳に社長の声が届いた。
「彼女…吉木さんはたくさんの資格を持っているんですよ」
覚えていてくれたことが嬉しくてパッと顔を上げる。
すると社長は面接の時と同じように手放しで褒めてくれた。