一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました

「この際だから美羽こそ社内恋愛に挑戦したら?」


自分のことを棚に上げてどの口が言うんだか。

私は里香みたいに美人じゃないし、モテるわけじゃない。

スポーツで鍛えられた筋肉質な身体にショートカットの姿はボーイッシュで、男ウケしない(かといってこのスタイルを変えるつもりはないけど)。

それに、今は社員の人たちの恋愛事情で手一杯だ。


「恋愛関係はお腹いっぱいなの」


話題を切り上げるようにシメの料理を注文しようとタブレット端末に手を伸ばす。

と、その時、里香が急に私の手からタブレット端末を取り上げた。


「これ!これもおかしいのよね」

「どれ?他のがよかった?」


注文しようとしていたのは里香の好物のお茶漬けなのに、今日はお茶漬けの気分ではなかったのだろうか。

画面をのぞき込むと料理は何でもいいと言って端末を戻してきた。


「じゃあなにがおかしいの?」

「そのタブレット。似たようなものが推進課にも置いてあるでしょ」


里香が言うのは推進課に置いてある個人情報ダダ漏れのパソコンのことだ。

あれは私もどうかと思っている。
< 9 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop