One more kiss
マネージャーも「もう麻耶は一人で大丈夫でしょ?」と、掛け持ちで担当している他の子の現場を優先するようになってしまった。


もちろん、それは仕方のない事なのだけれど。


事務所もビジネスでモデルを育てているのだから、どんどん新人を売り出して稼ぎ手を増やしていかなければいけない訳で、私ばかりに構ってなどいられないだろう。


スタートダッシュは良かったけれど、その後思いの外飛躍しなかった私のことなど。


それに気付いた時点で、自らどんどん売り込むなり、オーディションに果敢に挑むなりしていれば状況は変わったかもしれないのに「今抱えている仕事をこなすので精一杯。中途半端になったら申し訳ないし」と言い訳をして、特別アクションを起こさずにいた。


そして今現在、この有り様という訳だ。


つくづく甘ちゃんだったと思う。


しかも、気が付けば私ももう今年で25歳。


モデルとしてはちょっと微妙なお年頃になってしまった。


いや、別に、私より年上でも第一線で活躍している方はたくさんいらっしゃるし、年配の方向けのブランドだって当然ある訳で、40代50代になってもモデルとしてのニーズはある。


ただ、年齢を重ねてもなおご活躍されているのは、そこに至るまでにそれなりのキャリアを積んで来た方達ばかりだ。
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