One more kiss
「………えっ?」

「あら」


私とマコトさんは同時に目を見張り、声を発した。


「やだ。なに?今の」


言いながら、彼は上体を起こし、右手を口元に添えたけれど、それは私が言うべきセリフだった。


「な、なんで!?」


だって今。


マコトさんの方から自分の唇を、私のそれに重ねて来たのだから。


「マ、マコトさん、女性には興味がないんですよね!?」

「え?私、麻耶ちゃんにそんな話したっけ?」

「い、いや、改めて言われた訳ではないですけど、でも、もう暗黙の了解というか周知の事実というか…」


とにかく彼に関わっている人は皆その事を把握している。


「ん~。その筈なんだけれども…。でも、どうやらそうじゃなかったみたいねぇ」

「え?え?じゃ、えっと、両刀使いさん?」

「平成生まれのくせに言葉のチョイスが古いわね~」


苦笑いを浮かべながらマコトさんは続けた。


「でもまぁ、そうね。多分私、バイなんだと思うわ」

「多分て…」

「だって、こんなの初めてだったから。てっきり自分には、そういう感情は皆無だと思ってたからさ」

「…そういうのって…。何がですか?」


そこでマコトさんは唇を覆っていた手を外し、いたずらっ子のような笑みを浮かべて返答した。


「……雄としての、ムラムラ感?」

「へ!?」
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