恋色シンフォニー

その日の圭太郎は、珍しく、黙って私を抱いた。
黙っていても、容赦なく、ものすごくいやらしかったけど。

インターバルで私の胸に顔をうずめている圭太郎の柔らかい髪の毛をなでながら、きいてみる。

「今日は、あまりしゃべらないんだ?」

「うん……綾乃の声、きいてる……」

「は?」

「綾乃の声、たまに音にきこえるんだ」

「前からききたかったんだけど、きいていい?」

「何?」

「絶対音感、あるの?」

「……まあ、一応」

やっぱり。チューナー使わないで調弦してたもんね。
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