恋色シンフォニー


休憩時間になった途端、設楽さんが立ち上がった。
「綾乃ちゃん、行くよ」
どこへですか?
慌ててついていく。
設楽さんは、廊下のドアにいたスタッフの女性に声をかける。
知り合いらしく、バックステージへ通してくれた。
まさか。

裏側は、人と音とで溢れていた。
広くないスペースに、人が楽器を持って集まっている。
ああ、懐かしいな。この雰囲気。

そしてたどり着いた控え室。

【三神圭太郎様】

女性がノックする。
「はい」
中から低い声の返事があった。
「三神君、設楽先生と彼女さんです。開けますよ」
女性がドアを開けると、圭太郎がシャツ姿でソファにぐったりと沈み込んでいた。
顔だけこちらに向ける。
設楽さんは女性にお礼を言うと、部屋に入った。私も会釈をして後に続く。


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