恋色シンフォニー
三神くんが、店舗配属から、本部の販促部に来たのは、私が商品部に来てから1年後。
私は元彼である先輩に夢中だったから、その頃の三神くんをあまり覚えていない。
(かといって、その後もほぼ話していないので、それからの三神くんも覚えていないんだけど。)

覚えている出来事はといえば、三神くんが会議の進行をするようになってから、会議が時間通りに終わるようになったということだ。

前は結論が出なくて、ぐだぐたしていた会議。
まず、議題を決めて、資料は前もって参加者に配布。質問事項を準備しておいてもらう。
結論ありきで、会議での合意が必要、という事項については、スムーズに承認されるよう、あらかじめ関係者に根回し。

さらに、三神くんは仕切りが上手い。
論点の整理。発言の要約。フォロー。
発言者の話題がそれれば、さりげなく切り込む。
しかも、個人のプライドを傷つけないような配慮とともに。

あからさまじゃないから、みんな割と素直に言うことをきく。

当時は、会議が長引かないのは助かるな、なんて思っていたけれど。
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