恋の指導は業務のあとに
あまりのびっくり発言で、食べていたタラコクリームパスタが喉に詰まりそうになった。
「す、す、す、すすす」
「あはははは。若葉ったら、超挙動不審。落ち着いて、ほらお水飲んで」
琴美がくれたお水をごくごく飲みほして、ようやく落ち着く。
「琴美ってば、なんてこと言うの~冗談にもほどがあるよ」
「ごめん、ごめん。でもさ、旅行中に何か言われてない?」
言われたかと訊かれれば、顔が熱くなる。
布団の上での出来事は、今思い出しても恥ずかしくて悶えそうになる。
男子にあんなこと言われたもされたのも、人生初だ。
でもあれは、懲りもせずに酔っ払った私への戒めなのだと思う。
そうでなければ、ちゃんとキスしてくれたはずなのだ。
それも、告白付で。
「それも違うよ・・・私がオコサマで、指導中の部下だから、気にしてるだけだよ」
そうなのだ。それだけなのだ。
だからいろいろ思わせぶりなことをされても、勘違いしたらダメなのだ。
「じゃあ、若葉は?私から見れば」
「あーーー待って!言わないで!自分でわかってるんだから!!」
恥ずかしくて、わあわあ騒いで必死で止める。
今まで蓋をしてきたのに、言葉にされてしまったら一気に意識してしまう。
どうして朝も昼も夜も羽生さんのことを考えてしまうのか。
もう答えは出ている。