婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
病院を出た後も、私は車の中で、赤ちゃんの写真をずっと眺めていた。
まさか、こんな日が来るなんて…
本当に夢なんじゃないかと疑ってしまう。
そんな不安を打ち消したくて、私は自分のほっぺたをギュッとつねり上げた。
うん 大丈夫だ!
夢じゃない!
ジンジンしてるもん…
嬉しい痛みを感じながら、ふふっと顔をほころばせていると、運転席の圭司がチラリと私に視線を向けた。
「俺、ホントにつねってる人、初めて見たかも…」
感心したようにそう言うと、圭司はクスッと笑った。
「だって 全然、実感が沸かないんだもん… このお腹の中に赤ちゃんがいるなんて… 夢みたい…」
見た目は何も変わらないけれど、私のお腹には小さな命が宿っている。
そう思っただけで、涙が出るほど愛おしい…。
私は、そっとお腹に手を当てた。
「俺にも触らせて…」
赤信号で車が止まると、圭司は運転席から身を乗り出して私のお腹へと手を伸ばした。
「動いたりするのは、まだずっと先だけどね…」
私の言葉に圭司は優しく微笑むと、愛おしそうにそっとお腹に手を触れた。
圭司はもう、すっかりパパの顔だった。
「そう言えば、つわりの方は大丈夫なの?」
「あっ 嬉しくてすっかり忘れてた。うん 吐き気は大部治まったかも… だから、予定通りゆずちゃんの所にも顔出せそうだよ。この出産祝いのプレゼントも、早く連くんに渡したいしね。」
念のため車に積んでおいたプレゼントは、6カ月になる連くんの為に買ったベビーウエアだ。
初めて入ったベビー服のお店で、圭司とあれこれ悩み抜いた末、ようやく選んだものだった。
「なつが大丈夫なら、そうするか…」
圭司は再びハンドルを握って、ゆずちゃんのマンションへと車を走らせた。
-・-・-
「うわー 可愛い! なつさん、瀬崎さん ありがとうございます。」
ゆずちゃんが、箱から出したベビーウエアを両手で広げながら、嬉しそうに声を上げた。
「良かった。気に入ってもらえて… 悩んだ甲斐があったよね 圭司。」
「そうだな ほぼ半日かかったもんな…」
「そうなんすか! なんかスミマセン ホントにありがとうございます。」
ゆずちゃんの隣に座っていた聖也さんが、恐縮したように頭を下げた。
「とんでもない 私達の方こそ、楽しませてもらったんだから。それにしても、連くん よく眠ってるね~ 可愛い寝顔…。」
ベビーベッドでスヤスヤと眠る連くんを見て、私はクスッと笑った。
「寝顔は天使なんですけどね~ 普段は怪獣ですよ~ 夜は寝てくれないし、もう 私 クタクタです。実家から帰ってきて早くも、育児ノイローゼになりそうですよ~」
ゆずちゃんがはーとため息を漏らした。
「そっかあ 育児ってやっぱり大変なんだね。私も覚悟しないと… 助けてね 圭司。」
「うん 大丈夫だよ。一緒に頑張ろうな。」
そんな私達の会話に、ゆずちゃんと聖也さんは驚いたように目を丸くした。
「えっ なつさん! もしかして…」
ゆずちゃんが口に手を当てながら呟いた。
「うん そうなの さっき病院で分かったの。私も赤ちゃん、できたよ… ゆずちゃん!」
そう言ってニコッと笑うと、感極まったゆずちゃんが私に抱きついてきた。