政略結婚に隠された真実
大翔は、愛梨が言ったことに思わず笑ってしまった。

愛梨は婚約破棄の方法をそんなことだと言い放ったのだ。


「え?私なんかおかしな事言いました?」
「ううん、大丈夫。おかしくないよ?それで僕の事って?」
「あ、はい。碓氷さんって案外、いい人なのかな?って。」
「は?」
「え?だって、碓氷さんて、イヤじゃないもの。」
「は?余計分からないんだけど?」
くっくっと笑いながら聞いてきたので、さっき思ったこと全部話してみた。


もちろん、新のことは知らないだろうから“友達”といったし、ドキッとしたことや可愛いと思ったこと、知ってるような感じがしたことは黙っていた。
確か男の人に可愛いって言ったらダメなんだよね?


「そっか。触れられるのはイヤじゃないんだね。」

大翔は聞こえるか聞こえないかぐらいの声で呟いた。
愛梨は足で海の水をパチャパチャしていたので聞き取れなかった。

「え?…すみません、ちょっと聞こえなかったです。」
「ううん、何でもないよ。僕は愛梨だから優しくできるんだよ。」

大翔はまた愛梨の頭を撫でながら、優しさいっぱいの笑顔で、さらっと言う。
愛梨はこんなこと言われたこともなくて、ぼっと赤くなって俯いてしまった。


パチャパチャ

パチャパチャ

ぐぅ~~


特に話もせず、二人並んで座って海を眺めていたら、お腹がなった。
愛梨は顔を真っ赤にして、慌てて鳴ったお腹を隠した。

大翔はくっくっと笑いながら声をかけてきた。

「愛梨、お腹すいた?僕おすすめの所があるんどけど、そこはどう?」
「・・・はい。お願いします!」


お友だち宣言したのに加え、お腹が鳴って恥ずかしい思いをしたのとで、少しだけだけど、会話をするようになった。
もちろん仲の良い友達みたいにしゃべりまくるのではなく、ポツリポツリ一言二言言葉を交わす程度。
移動中の車の中では、鼻歌を歌ってるので、会話するほど暇じゃないし。
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