ツケマお化けに恋して
予定通り両親に挨拶に行くことにした。

朝からなんだか落ち着かない辰次郎さんは「緊張するなぁ」と何度も行っている。

いつもの落ち着いた渋いおじさんはどこに行ったのやら?

実は昨日実家に電話をして辰次郎さんの事を話したのだ。

事細かく。勿論オカマを仕事にしていた事も。

すると母は「あらっ!楽しそうな人ねぇ早く逢いたいわ」と喜んでくれた。

そして雅さんも結婚する事を喜んでくれた。

でもこの事は辰次郎さんには話していない。

辰次郎さんはさっきから何度も鏡の前で自分の姿を見てため息を漏らしている。

「本当にこれで良いのか?可笑しくないか?」

「大丈夫だって!女性ファッション誌を担当していた私が見立てたんだから!」

勿論、ミチルの姿ではなくメンズスーツをビッシっと決めているのだ。

昨日、私は仕事を定時であがり、辰次郎さんと会社の前で待ち合わせをして彼のスーツを買いに行ったのだ。

辰次郎さんは何年もスーツを着ることがなかったのでデザインの変化に驚いて居た。

『今はこんなに派手なのか?』

『これが普通よ!』

『俺の時代はもっとシンプルだった。』

『俺の時代はって辰次郎いつの時代の人よ!』

まぁ10年ひと昔と言うけど…

『イヤイヤ俺は日本人だ!』

とか訳の分からない言葉を発していた。

本人はイタリヤのチョイ悪オヤジを連想してるれらい。

まぁそんなこんなで私の選んだスーツをいま着ているわけなのだ。
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