ライ・ラック・ラブ

佐久間さんの車に乗った私は、ひとまず呼吸を整えると、正さんと父に言われたことを、佐久間さんに話した。
運転席に座っている佐久間さんは、私にハンカチを渡すと、時折隣に座っている私の方を見ながら、でも大半は正面を見たまま、黙って話を聞いてくれた。
常に視線を感じるより、適度に距離を置いた感じの方が、私も話しやすいだろうという、佐久間さんの配慮がありがたい。
何より、優しく包容力がある佐久間さんが相手だからか、私は自分に起こったことながらも、ある程度落ち着いて、客観的な口調で、彼に話すことができた。

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