ライ・ラック・ラブ
「誰かに言われたことに傷つくのは、その言葉を信じているからだ、信じているということは、そのこととか言葉を自分が受け入れているからだ、だから受け入れるなと言われたことがあります。それを言ったのは小学校のときの同級生で。そいつも私と似たような境遇だったこともあって、私同様、クラスの奴らから色々と言われてました。でもそいつは私と違って、何を言われても言い返すこともなく、相手を殴ることもしなかった。飄々としてて、誰ともつるまず、私も含めて、他のみんなと一線を画していたというか‥たぶん、すでに自己を確立してたんでしょうね。良い意味で孤立してました。そいつとは似たような境遇だからと言って、友だちと呼べるほど仲良くしてたわけじゃない。だからもう20年近く会ってないし、もちろん連絡も取り合ってないっていうか、連絡先、知らないんですけど…小学生の頃、同級生に言われた1回きりのあの言葉を、今でもふと思い出す時があるんです。1回しか言われなかったから、余計印象に残っているのかもしれません」
どこか遠い目をして話す佐久間さんは、いじめられたことを思い出して悲しむのではなく、そう言ってくれた人のことを懐かしんでいるようなので、私はホッとした。
どこか遠い目をして話す佐久間さんは、いじめられたことを思い出して悲しむのではなく、そう言ってくれた人のことを懐かしんでいるようなので、私はホッとした。