鏡遊び
「ちゃんと持ってきたんだ。赤い水」

麻己は私たちの言葉を無視して、話し始めた。

手にはペットボトルに入った赤い液体。

「ここまで来たんだよ?本当なら鍵がかかってて入れなかったかもしれないのに、ラッキーじゃん。次はないかもしれないし」

「そもそもおかしいよ...。なんで鍵開いてたの?警備員の人とかもいないし...」

「それはたまたまだよ。たまたま開いてたの」

「たまたまって...あれだけ開かないって言ってた頑丈な鍵なのに?」

「たまたまだって。ね、瑞樹」

「えっ...」

名前を呼ばれた瞬間、私はそれが本当に麻己なのか疑問に思った。
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