好きやった。


月島にプレゼントを探す店はすべてウチに任せると言われたから、駅ビルでいつもウチが立ち寄るお気に入りの店を片っ端から見て回った。

でも月島は、どの店でも首を捻るばかり。ウチが勧めるものも、どれも気に召さなかった。

月島曰く、美亜のイメージと違う、らしい。

そりゃあそうだろう。ウチの趣味で選んだ店なのだから、彼女のイメージに合うはずがない。

ウチはどちらかと言うとシンプルでカジュアルなものが好きだし、兄の影響でメンズものも普段使いするぐらいだ。今日コートの下に着ているシャツとセーターも、メンズだった気がする。


一方で月島の彼女は、フェミニンなイメージ。

ウチはあの子の制服姿しか見たことなかったからそれは想像だったけど、今日月島から彼女の好みやデートのときに着ていた服装を聞いたら、そのイメージは間違っていなかった。

可愛らしい顔立ちのあの子によく似合う、女の子らしい趣味の持ち主だった。


そんな彼女のイメージを、プレゼントを探す最中に話してくれた月島。

いつものように彼女の話をする月島は幸せそうで……。

月島が好きになった彼女が自分とはとことん違う子なんだと思い知るたびに、傷だらけの心が疼いていた。おかげで精神が疲れ果てている。


……あっ、これ。

前に留美が買ってたやつや。

棚を見ていたら、見覚えがある動物のぬいぐるみのキーホルダーを見つけて足が止まった。

今いる店は、留美が気に入っている雑貨屋だ。カラフルで可愛いらしいアイテムが多く並んでいる。


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