好きやった。


「めっちゃ笑ってるやん」

「いや、だってさ、おもろいやん! そのサル、顔は笑っとんのに鳴き声は威嚇しとるし。ギャップありすぎやろ!」

「やっぱりこれ、威嚇やったんか……」


鳴き声を聞いたときに、ウチも威嚇しているように思えた。

それがまさか、月島もそういうふうに聞こえるとは……。どうやら勘違いなどではないらしい。

可愛い見た目に反した鳴き声だなんて、相変わらずこの動物キーホルダーはおもしろい仕様になっている。


「あかん……。結構あとからじわじわくるわ、あはは」


笑っている月島を見ていたら、いつしかウチも一緒になって、声を出して笑っていた。

そうしている間にピンと思いついた。これはいけるかも。


「なあ、プレゼントはこれがええんとちゃう? 月島も気に入ったやろ?」

「俺は気に入ったけど、美亜はどうやろなあ……」

「見た目は普通に可愛いし、いけると思うけどなあ。どう?」

「うーん、威嚇しとるもの渡しても喜ばん気がするんさな」

「えーっ、そのギャップがあるからええやんか!」

「……まあ、保留で」


月島の手にぬいぐるみを押しつけてみたけど、それはすぐに棚に戻されてしまった。

なんやねん、もう。

今までで一番月島の反応がよかったし、これで決まったかもって一瞬思ったのに。期待してバカやった。

ぷいっとそっぽを向いて歩き出す。


「もうさ、なんでもええとちゃう? 月島が選んだものなら、なんでも喜んでくれると思うし」

「そうやろか……」

「好きな人が選んでくれたものなら、嬉しいと思うよ」


……もしも、ウチやったら。

好きな人……月島が選んでくれただけで、絶対に嬉しいと思う。


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