好きやった。
鼻の奥がつんとして、咄嗟に息を止めてその場をやり過ごした。
いつもそうだ。
無駄な想像をして現実に打ちひしがれて、そのたびにつらくなる。コイツの前で泣けないくせに、無性に泣きたくなる。
こんなんじゃあかんのに。
ウチはコイツの友達として、コイツとあの子のことを祝福しやなあかんのに……。
こうしやなあかんって思えば思うほど、苦しい。本当はそうしたくないって、心が泣き叫んでいることに気づかされるんだ。
あんまんを食べ終えて手持ちぶさたになった右手を、膝の上でぎゅっと握り締めた。
手のひらに爪が食い込む痛さで意識を涙から逸らして、俯きながらなんとか耐え忍ぶ。
「……あっちぃ! このあんまん熱すぎやろ!?」
そんなウチの右側から、なんとも間抜けな声が聞こえてきた。
声だけで大体の状況が理解できたウチは、いつもの友達としてのウチの顔で隣の月島に目を向ける。
月島はあんまんのかけらを膝に置いて、火傷したらしい舌を必死に手で扇いでいた。ちょっと涙目だ。
……てか、おいおい。
「火傷したなら、はよ飲み物でも飲みなよ!」
扇ぐのも結構やけど、飲み物で冷やした方が断然ええやろ……!
そうしない月島に呆れたら、さっきまで堪えていた感情なんて一瞬で奥に引っ込んでしまった。
「はい、これ飲みな!」
コンビニ袋からペットボトルを取り出して渡す。
慌ててそれを受け取った月島は、無我夢中でミルクティーを口に含んだ。
口いっぱいに液体を満たして、それからごくりと飲み干す。はあ、と月島がひとつ息を吐いた。