好きやった。
「ははっ……あー、笑い疲れた」
単に笑いすぎて出たのとは違う涙をそっと指先で拭いながら、誤魔化すように肉まんもついでに完食した。
気づくとそんなウチの顔を、月島が黙ってじっと見ていた。
あまりにも見られているので、なんだかドキドキしてきて落ち着きをなくしてしまう。
「……えっと、なに? もしかしてウチの顔、肉まんのかけらでもついとる?」
「いや、ついてへんけど」
「じゃあ、なんで人の顔見とんのよ?」
怪訝な顔で尋ねながらその理由を考えてみるけど、ちっとも思い当たる節がない。
じっと見つめてくる月島に対抗して見つめていると、その顔がふわっと綻んだ。
目を細めた、ウチの好きな月島の笑顔が突然現れて、心の準備ができないうちにドキッとした。
「久しぶりに見たなあ、って思って見てた」
「え、何を?」
「井ノ原が笑った顔」
「え……?」
ドキドキと甘く高鳴りつつあった鼓動が、どくんと衝撃を受けた響きに変わった。
「……久しぶりっていうのはおかしいやろ。ウチ、1日1回ぐらいは笑っとると思うけど?」
「そりゃあ、そうやけどさ。……なんか、楽しそうに笑っとるのは久しぶりに見たで」
さらりとそう言った月島の顔は、見ることができなかった。
……月島が言わんとすることに、気づいてしまったから。
「……ずっと、気になっとった。ここんところ元気がないように見えたし、いつも何かと無理して笑っとるように思えたから」
――なあ、月島。
ずるいな、気づくなんて。