カリスマ社長に求婚されました
結局、ジャンプーを別にすることで、柊也さんのアドバイスには従う。

それすらも、優一さんには不審がられたけれど、深く追及されることはなかった。

「おはよう、茉奈ちゃん」

翌朝、いつもどおりオフィスに向かうエレベーターを降りたところで、彩子さんに声をかけられた。

いつものように、パンツスーツをビシッと決めて、いかにも『デキる女』だ。

やっぱり私が並ぶと、自分のオーラの小ささを実感して、少し凹んでしまった。

「おはようございます、彩子さん」

心の落ち込みは隠してニコリと笑顔を向けると、彼女は満面の笑みを私に向けた。

「優一と一緒に出勤じゃないんだ?」

「あ、いえ。途中までは一緒なんですけど、今朝は優一さんには、別件があって……」

全然嫌みっぽくも言われていないのに、言葉が引っかかってしまう。

出勤が一緒だと当たり前に思われているのも、どうなんだろう……。

「あ、そうそう茉奈ちゃん。この間ね、お客さんから茉奈ちゃんのことを褒められたのよ」

オフィスのドアを開けながら、彩子さんが得意げに言った。

「えっ? 私がですか……?」
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