カリスマ社長に求婚されました
どうやら蓮士さんは、今夜のellのパーティーのゲストではないらしい。

大股でこちらまで歩いてきた優一さんの深い眉間のシワが、蓮士さんとの関係を物語っている。

あまり、仲がいいわけではないみたい……。

「実は、このホテルで幹部会議があってね。オレも出席してたってわけ。そうしたら、ellのパーティが開かれるって耳に挟んだから……」

「偵察にでも来たのか?」

蓮士さんの話が終わる前に、優一さんの挑発めいた言葉が飛ぶ。

だけど、蓮士さんは表情ひとつ変えることなく、愛想のいい明るい口調で答えた。

「まさか。ただの好奇心だよ。お前の彼女も見てみたかったし……。そういえば、名前を聞いてなかったな」

チラリと私に目を向けられて、背筋が伸びるような緊張感が走る。

蓮士さんの放つオーラは、優一さんとは違う威圧感めいたものを感じるからだ。

「すみません。坂下茉奈といいます……」

「茉奈ちゃんか。これからまた会うこともあるだろうし、よろしくな」

「は、はい。よろしくお願いします」

私の隣に立つ優一さんは、ずっと険しい表情を崩さないし、蓮士さんは不気味なほど笑みを絶やさないしで、いったいふたりはどんな関係なのか、とにかく不思議だった。
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