カリスマ社長に求婚されました
蓮士さんがエレベーターに乗り込んだのを確認すると、優一さんが身を翻してぶっきらぼうに言った。

「行こう。そろそろゲストも来る時間だから」

「う、うん……」

優一さん、かなり機嫌を損ねているみたい。

蓮士さんがどういう人なのかを知りたいけど、それは改めて聞いてみることにしよう。

それに『偵察か?』とか言っていたのも気になるし……。

蓮士さんの名刺をバッグにしまうと、優一さんの後を追いかけるようについて行った。


パーティーのゲストには、ellの株主や上顧客が集まっている。

以前会った嶋谷副社長夫妻や、大手企業の重役夫妻など、それまでの私では見ることすらなかった人たちが揃っていた。

壇上では、優一さんが新作のコンセプトや注目点などを説明している。

その彼の姿を、私をはじめ柊也さんや彩子さんが袖口で見守っていた。

「優一の話が終われば、モデルさんの登場よね」

スケジュールを確認しながら、彩子さんが呟く。

それに合わせるように、私ももう一度内容を確認しようと資料をめくると、奈子さんが目の前で仁王立ちした。
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