カリスマ社長に求婚されました
「そんな……。蓮士さんは買いかぶりすぎです」

少し照れくささを覚えながら、でもやっぱり警戒心はとけない。

「本当だ。優一が羨ましいよ」

と蓮士さんが言ったとき、ドアがノックされると共に、女性の声がした。

「中沢課長、安田様がお見えですが……」

「ああ、すぐ行く。窓口にお通しして」

「はい、かしこまりました」

『課長』の蓮士さんは、口調をガラッと変え、私と話すときとは違うビジネスライクな雰囲気になっていた。

「アポの時間だ。茉奈ちゃん、今日はありがとう。次は……、会うのは無理か」

「偶然会うか、優一さんと一緒のときだと思います」

と言うと蓮士さんはなにも言わず、ただ微笑んで足早に部屋を出ていく。

きっと、これで気持ちは分かってもらえたよね……。

そして銀行をあとにする途中、蓮士さんのいる投資窓口の前を通った。

年配の男性を相手に、真剣に話をする姿は、きっと女性なら惹かれる様に違いない。

だけど私にとって、そんな蓮士さんを見ても、優一さんへの想いが簡単に揺らぐわけはない。

気持ちは本当にありがたくて、身にあまるくらいだけど、やっぱり優一さんが誰よりも好き……。
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