カリスマ社長に求婚されました
相良さんは、メニューを取り私に渡しながら言った。

「うちは、デザイナーふたりも恋人同士だし、他にもいる。茉奈ちゃんが、心配をする必要はないよ。それより、食べたいものは決まった?」

「あ、はい……。なんだか、迷っちゃって」

気持ちを見透かされたみたいで気まずいけど、相良さんがそう言うなら、あまり気にしないでいよう。

とりあえずメニュー表を眺めてみるけど、どれも値段が高くて決められない。

コース料理が美味しそうだけど、やっぱり単品が精一杯だ。

それも、一番安いナポリタン辺りか……。

「茉奈ちゃん、このコースなんてどうかな? オレのお勧め。今日は、ご馳走するから、ふたりでこれを頼まないか?」

相良さんが指さした料理は、私がさっき目を引いたものだ。

まさか、それに気づいて言ってくれた……?

「でも、おごっていただくのは申し訳ないです」

いくら相手が社長だからって、こんな高いものを簡単に受け入れるわけにはいかない。

おずおず断ると、相良さんが困ったような笑みをみせた。

「茉奈ちゃんはオレの彼女だろ? ご馳走したいだけなのに、ちょっと寂しいな」
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