カリスマ社長に求婚されました
「全然イヤじゃないです。でも、大丈夫なんですか?」

相良さんに店内へ促されながら入ると、店員さんが愛想よく出迎えてくれ、テラス席へと案内された。

ここは、有名な高級イタリアンの店で、雑誌で取り上げられていたから知っている。

モダンな白が基調のデザインで、落ち着いた雰囲気だ。

客層はビジネスマンや着飾った女性グループがメインで、騒がしい様子はまったくない。

「それは気にしなくていい。ellは社内恋愛自由だから」

相良さんはイスを引いて、私を座らせてくれる。

スマートなエスコートは、だいぶ慣れた様子だった。

初めてされたことに私は戸惑いながらも、相良さんにお礼とともに笑顔を向けた。

「そうなんですね。それなら安心しましたけど……」

と口では言ったものの、本当なのか少し不安がある。

相良さんは社長で、しかも私が秘書。

そのふたりが付き合うだなんて、よく思っていない人もいるんじゃないのか、それが不安だった。
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