好きって言っちゃえ
気まずい雰囲気に、航が『しまったッ』という顔をしたが時すでに遅し。光俊がバシッと箸をテーブルに置いた。
「…実は俺、借金地獄なんっす」
「…」
その場にいた全員が手を止めて光俊の次の言葉を待つ。
「それで、家賃がいらないここに応募したんっすよ」
「なるほど」
剣二が軽く相槌を打ったのをきっかけに皆再び箸を動かしだし、その様子を見て光俊も表情を緩めて箸を持ち上げた。
「ま、そんなわけで、とても結婚なんて出来ないわけでして。ははっ」
「ちなみにいくらくらい…?」
「バカっ、止めとけ」
何気に聞いた秀人の肩を航を航がバシッと叩いた。
「まぁ、真面目に働いてあと何年かかるかなぁ〜。あ、一応言っときますけど、俺がギャンブルで作った借金じゃないんで」
光俊が目の前の剣二を真顔で見た。
「え?じゃ誰がギャンブルで作った借金なんですか?」
「おいっ!」
「イテっ」
再び航に叩かれる秀人。
「オヤジだよ、親父。親父がギャンブルで作った借金肩代わりしたってワケ」
「まぁ…。それは大変ね。で、お父さんは?」
少しほっとしたような表情で悦子が尋ねた。
「元気に生きてますよ。とりあえず、ギャンブルからは足洗ってもらいました。俺長男で下に兄弟がいるんで、稼いだ金はそっちに使ってもらうことにして、カッコつけて、借金は俺が引き受けたんスけど。ま、今微妙に後悔してます」
「借金返すって大変だものね。うちも、主人がここ改装したときにした借金返すのに随分かかったもの」