ビタージャムメモリ
壁に押しつけられたと思ったら、唇を塞がれた。

この間みたいな、からかい半分のとは違う、油断したら気持ちを持っていかれそうなキス。

強引なくせに、どこか余裕を残して、優しい。

こっちの反応を探られているのがわかった。


押し戻そうとあいた手で向こうの腕をつかんだら、薄いシャツ越しに肌の温度を感じて、ぎくっとする。

歩くんはふいにキスを終えて、でも離れてはいかず、いつでも次ができる距離に唇を浮かせたまま、綺麗に笑った。



「…17歳のくせに」

「そっちこそ、いくつだか知らねーけどいい年のくせに、ガキにキスされて真っ赤んなってんの」

「もうすぐ25、どいて」

「ちょっとぐらっと来たんだろ」



ただでさえ熱かった顔が、燃えるようにほてった。

仕方ないじゃない、こんなキス、しばらくされたことなくて。

別に歩くんに変な感情なんてないけど、たとえそういう相手からでも、されたら気持ちがざわつく。

そういう行為なんだよ、歩くんは慣れてるのかもしれないけど。

問答無用に、人をドキドキさせるものなの。



「25っつったら、これからじゃん、もっと遊べば?」

「いいから、離してよ」

「巧兄に近づかないって約束しろよ」



近づかないって、さっき言ったじゃない。

そう言い返す間もなく、またキスをされる。

濡れた舌が唇に触れるのを感じて、それだけは許すもんかと口を引き結んで抵抗した。

さすが歩くんは無駄なことはせず、すぐについばむだけのキスに変えて、その代わり、私が絶対にふりほどけないよう、髪ごと頭を痛いほどつかんだ。


柔らかいキスが、少しずつ場所を変えて、何回も落とされる。

彼の歳を知った今、こんなことをしていると、自分がものすごく悪い人間みたいな気がしてくる。

やめて、というより、やめさせなきゃ、という思いが湧く。

なのに。



「まーた泣いてんの」

「なんでこんなことするの」

「言ってんじゃん、弓生が可愛いから」

「だまして、脅したくせに」

「それとこれとは別、巧兄に手出したら容赦しないぜ」


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