世界の終わりに
結局、二人で大雨のなか野菜畑に向かった。

しかし、私たちは野菜を手に入れることはできなかった。

大雨で教授が丹精込めて作った野菜たちは全て流されていた。
私は泥まみれになりながら、野菜をかき集めたが
教授はもういいと言った。


ー2日分の食料なら冷蔵庫に蓄えてあるだろう。


「私は食べなくても平気です」


もともと私のような存在は人間ように食料は必要しない。
太陽光エネルギーを活動源にしているからだ。


ーそれでも、僕と一緒に食事を取ろう。



教授は濡れた私に傘を差し出した。



「…………これで…………教授は、青虫サラダを食べなくてすみますね………」



私は教授と目を合わせることなく
俯きながらそう言った。



ー…………ユーリ、君は悲しんでいるのか?



私は教授の質問に答えず、無言で彼に抱きついた。
泥まみれの私が彼の着ている白衣を
汚していることに気付いたのは
教授の手が私の背中にまわったときだ。

彼の腕の中はとても暖かった。
穏やかな気持ちになれた。

しかし一方でむずむずとした気持ちがうまれた。
胸の奥がかゆいと思った。

なぜか私の体温は上昇し、顔が火照った。
これは教授の熱を吸収している所為なのだろうか?


私はこの気持ちの名前を知らなかった。
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