世界の終わりに
私は椅子に座る教授を抱きしめた。
彼が死ぬ、その瞬間まで、そうしていよう
そう決めたのだ。
そうすればきっと教授は、孤独ではないだろう。
「この世界に、もう人間はいないのですね」
教授の体はとても暖かい。すべてが暖かい。そして、優しく、柔らかい。
「教授が今飲んだのはコーヒーではありません。コーヒー豆が切れてしまったので、紅茶を出しました。
……本当は、コーヒーの味なんてわからないのでしょう?」
ー……彼女が死んで、200年が経った。
僕を作ったのは彼女だった。
それから、僕はずっと1人だった。
教授はゆっくりと目を閉じた。
「……教授は本当に愚かだ。
そして、私は貴方が憎い……
それでも、私は貴方に感謝します。
貴方のおかげで、私は、愛することを知りました。ありがとう。」
そして、教授の胸のモーターが静かに止まった。
私はおやすみなさい、と心の中で呟いた。
おわり
