愛してるなんて言わないで


「あなたに覚悟があるというなら…


険しい獣道を歩む覚悟を持って、改めて会いに来て欲しい。

覚悟がないならどうか…


息子の幸せを1番に考えていただきたい。」


それは遠回しに


翔太さんを諦めてくれとの


お父さんからのメッセージだ…。



「分かりました。」


小さく頷き


2人が帰っていくのを見届けると



窓際におき忘れられてた携帯を手に取った。




****結花へ*****



今日、お父さんとお母さんに会うんでしょっ⁈

ちょっと怖いけど、頑張って気持ち、伝えなよ?



****依子******





依子のやつ…

今日のこと知ってたんだ…。


教えてくれるのが…


「遅すぎだよ…」




「翔太さん。翔太さんはお父さんの言いたいこと…

ちゃんと分かった?」


「えっ…?

分かってるよ?

でもかんけいないよ。そんなの」



翔太さんは

結婚したことがないから

平気でそんなことが言えるんだ…。



お父さんの言葉1つ1つが

まだ

胸に突き刺さってる。



「関係…あるんだよ?」

「どうして?」

「結婚って…相手の家族とも、家族になるっていうことなんだ…。


関係ないなんて言えないんだよ?


翔太さんのご両親は私と颯太を見て、戸惑ってたじゃない…。


それが現実なんだよ…?」



涙がおちていく…


颯太の前なのに


我慢がきかなくておちていく。



「結花さんは…


傷付くくらいなら、俺と一緒にいたくない?」



「分からないよ…」


分からない。


まだ

離婚してから長い期間が経って


ようやく数えきれないほどの覚悟を見つけ始めたばかりで…



いっぱいいっぱいでよく分からない。



「だって私…


離婚するつもりで最初の結婚をしたわけじゃなかったから…



覚悟とか


分からない。


一生一緒に生きてくと、決めたはずの人と…


結局はその誓いも守れなかった私に

翔太さんを幸せにできるとも…


永遠にとも…


分からない。


重たいから…

結婚ってそれくらい重たいことだから…っ‼」


ぼろぼろと泣き出した私の足を


颯太がきゅっと抱き締めた。



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