ふんわり系男子が考えてること。




『蓬原くん、ももがどうかしたの?』




空気だけを掴んだ手をくやしそうに
見てる蓬原くんに話しかけた。



きっと‥‥蓬原くんは‥‥




『なんでもないよ‥‥。』



蓬原くんはその拳をぎゅっと握ると
私の目なんて見ずに自分の席に向かってく。



私は知ってる。


ももは観察対象の人の仕草や言動には
興味あるけど、心には興味が無いことを。



だから、もし蓬原くんがそうなら
実る確率はかなり低いと思う。



だって観察対象者になった瞬間、
ももの恋愛対象者ではなくなるから。




だけど‥‥私は蓬原くんを
応援したくなっちゃったな。





『追いかけないの‥‥??』



私は机に頬杖をつきながら
まだ夕日が出てる空を
見上げる蓬原くんに問いかけた。



表情が見えない。



返事が返ってこないから
ただじっと蓬原くんを見つめた。


綺麗なミルクティー色の髪が
夕日のオレンジ色に包まれている。




『今、追いかけなきゃ ももは本当に‥‥』




少し焦らす言い方をすると
しばらくして蓬原くんは口を開いた。




『ももの元カレの高校どこ?』


『え?えっと、若葉高。』




蓬原くんにそう伝えると
蓬原くんは一瞬こっちを見て
にこって笑った。


でも前髪のせいで口元しか見えない。





バッ‥‥―――


教室からカバンを持って
飛び出していった蓬原くんを
私は無言で見送った。




蓬原くんは大丈夫。

ふわふわしてそうだけど
いつもどこか余裕がある蓬原くんなら。




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