嘘から始まる恋だった
「別に…彼氏でもない高貴の前で着飾る必要なんてないから、私はラーメンでいいの」
自分で言って傷ついているなんて…
「麗奈…」
「ほら、これから一緒に生活するんだから、着飾ってもいずれはバレちゃうんだから…それなら最初からさらけ出したほうがお互い気を使わなくていいでしょう⁈」
無理に明るく振る舞う私。
「……お前がそう言うなら、俺もカッコつけるのをやめるか」
「…ウソ、カッコつけてたの?」
「あぁ…お前にいい人に見られたくて無理してた」
「どうして?」
「どうしてだと思う?」
妖しく見つめる瞳
艶めく声
そして、思わせぶりな言葉に…
淡い期待が起こる。
だけど…高貴に話していない真実
それを知ったら彼は私を嫌いになる。
嫌われるぐらいなら…
このままでいい。
「…共同戦線を敷いた同志だから…だよね」
「お前、それ本気で言ってるのか?」
目を細める男が低い声でつぶやいた。
「…あ、当たり前じゃない。高貴は会長を欺く為に、私は…義兄さんを欺く為にお互い必要な存在。だから、助けあって乗り切るにはいい人になる必要なんてない。私達には初めから恋愛感情なんてないんだから……」
一気にまくしたてる私。
切ない嘘をついて距離をとらないと今にも好きだと言ってしまいそう…
「そうだな…恋愛感情なんてないか……だが、欺く為には恋人同士に見えないと意味がない……その為にこれから親密になればいい」
自分で言って傷ついている私を
さらに奥深く傷をつける高貴の言葉に…
傷つき、男が言おうとした意味を聞き逃していた。
「俺は、もう遠慮しないからな…」
遠慮?
何を遠慮していたと言うのだろう?
恋人のふりをすることになったのも…
同居生活することになったのも…
こうして…急な引越しも…
いつも最後には高貴のいいように行動している気がする。
「とりあえず、腹ごしらえしてからだな…」
再び、車を走らせる男の横顔が暗がりのウインドーガラスに映る。
それは…義兄とは違う何か企む男の表情に見えて、そこから目を反らしてしまった。
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駅裏にあるラーメン屋に行く前に、マンションの玄関ホールにいるコンシェルジュに荷物を預けラーメンを食べた帰り…
温まった体を冷たい空気が体を冷やしていくから、手のひらを合わせ息を吹きかけ身を縮めてしまう。