そのキスで教えてほしい
夕飯前ということもあり、店内は結構混んでいた。

予想していたけれどレジにも人がたくさん並んでいて、ちょっと嫌。

でも惣菜コーナーで美味しそうな春巻と肉じゃがを見つけたから満足、満足。

サラダは自分で作ろうと、レタスと玉ねぎをカゴに入れて、缶詰めとドレッシングコーナーを物色していたとき、夢中になってしまって他のお客さんに腕がぶつかってしまった。

「あ、すみませ――」

まず、視界に入る足元。

徐々に上がっていく視線が捉えるのは、細身のジーンズを履いた長い足。
カゴを持つ手は袖が長めのニットに半分埋もれている。
胸元はV字に開いて白い肌と綺麗な鎖骨が見えていて。

ああ、この人絶対かっこいい――

「え」

と、思いながら顔を見た瞬間、私は驚いてしまった。

相手も「お」という顔をしながら瞬きをする。
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